塗料のお話

外壁の下塗り材について シーラー?フィーラー?

外壁塗装工事の見積書を見ると「下塗り」の項目に「シーラー」又は「フィーラー」と記載されています。2社以上の見積りをとると、業者によってまちまちであったりするかもしれません。

なぜ業者によって違いが生じるのかというと、下地である外壁の状態によってどちらを選択するかを業者が判断した見解の違いか、単純に業者の知識不足が露呈したかのどちらかです。

そもそも、下塗りをする目的は下地である外壁の状態を整え、上塗りの吸い込みを防止して密着をよくすることにあります。

お化粧をするとき、まずは化粧下地で肌を整えますね。

お肌の状態によって化粧下地のタイプを使い分けするのと似ています。

コンディションが悪い時は、そのコンディションをカバーしてくれる化粧下地を選ぶと思いますがいかがでしょうか?男性でお化粧する方は少ないと思いますが、男性でもなんとなくおわかりいただけるのではないかと思います。

ノーマルなお肌に使用する化粧下地が、外壁の下塗り材のシーラーにあたります。

一方、乾燥やトラブルをかかえている場合に使う化粧下地が、外壁の下塗り材でいうところのフィーラーにあたります。フィーラーは外壁の細かいヒビやごく小さな欠けであれば、塗るだけで改修してくれる作用があります。

外壁の下塗りに何を選択しているかで、その業者の見識がある程度わかるとも言えますので、見積書を比較するときはここに注目するのもポイントになります。

ただ、誤解してはいけないのは、どんな状態であってもフィーラーを使いたがる業者もいますので、下塗りに「フィーラー」と記載されている場合はその理由についても質問してみた方がいいですね。

私は下塗りには「シーラー」を使うケースが多いのですが、場合によってはカチオンフィーラーを塗って、その上にシーラーを使用するという「下塗り2回塗り」や、同じ「下塗り2回塗り」でも先にシーラーを塗って、その上に微弾性フィーラーを塗るなど様々な選択肢から最適な方法を提案しています。

カチオンフィーラーや微弾性フィーラー、水性カチオンシーラー、エポキシシーラー、ニ液形シーラー、etc・・・。下塗り材だけでもたくさんの種類、たくさんの使用方法があります。ここでは本当にさらっとだけ説明してみました。

業者の良心にまかせるしかないもの

外壁の下塗り材についてのお話で、見積書を比較する時のポイントになるのが下塗り材の項目であるとのアドバイスをいたしましたが、見積書には記載されない作業もくさんあります。そのひとつに、「シリコン止め」なる作業があります。

この「シリコン止め」という作業は足場がかかって工事が始まらないと、どの程度の作業になるのかわからないため、見積書には通常記載しない項目です。

中には「シリコン止め」なる作業などまったく念頭にない業者も多数おりますが、それは論外として、作業そのものは施主様に代金をいただいておこなうほどのものではありませんが、するかしないかでは2~3年で大違いになります。また、どんな塗料を使って「シリコン止め」をおこなうかによっても違いが出てきます。

では、「シリコン止め」とは何か。

建物によって違いがありますが、シリコン止めをしなければならない箇所の代表として屋外コンセントの周囲、電気の計量メーターの周囲、FF排気筒の周囲、テレビアンテナの釘頭、などの箇所に無色透明のコーキングが施工されています。このコーキングがクセ者で、塗料を寄せ付けずはじいてしまいます。はじいてもはじいても負けずに何度か塗り重ねると偶然にも一旦塗膜が載りますが、1年程度で塗膜が反りかえるように剥がれてきます。それを避けるために、その問題のコーキングが施工されている部分に「シリコン止め」の塗料を事前に塗って次の作業へと移っていきます。

そもそもなぜそんな厄介なコーキング使っているのか?それには訳がありかす。

新築の建物は塗装された完成品のサイディングを外壁に施工します。そして、外装工事が終わったあとに、電気工事業者が屋外コンセントや電気の計量メーターを、設備業者が排気筒を、といった具合にそれぞれの箇所にそれぞれの専門業者が取付工事をおこないます。それらの専門業者はたくさんの現場を他にもかかえながら、同じような工事をおこないますが、外壁の色やデザインはまちまちです。その建物の外壁に合わせてたくさんの色のコーキングを持ち歩くのは困難であるし、ロスも多くて大変です。そこで、どんな外壁の色にも対応できる無色透明のコーキングを持ち歩き、使用しているのです。

そして、一般的なコーキングは乾燥硬化した後に塗料を塗って保護しないと劣化が早いのです。そこで先程の無色透明のコーキング、その中でも塗料で保護する必要がない「シリコンコーキング」を使えば乾燥硬化する数日後に保護の塗装をしに再度現場に来る必要がありません。第一、塗装工事の専門業者でなければ、外壁の色に合わせて塗装することそのものが困難です。我々塗装業者もシリコンコーキンググを使うケースがほとんどですが、塗料が載る「変成シリコンコーキング」を使います。

塗料をはじいてしまうシリコンコーキングには無色透明な物ばかりでなく、玄関風除室のサッシと外壁の取り合いに使われている色付のシリコンコーキングもありますので、よく見極めて適切な処置をしなければなりません。

「シリコン止め」をするための材料は数社のメーカーから発売されていますが、私はある1社の物だけを信頼しています。他のメーカーの物と比べると価格は格段に高いですが、1軒の現場で大量に使う物ではないので、信頼のできる物を使っています。

見積書に表れないものは「シリコン止め」だけではありません。例えば鉄部の塗装で使用する錆止め塗料なども、通常の錆びに使うものもあれば、錆びが奥深くまで浸食している部分にポイント的に使用するのが望ましい錆び止め塗料などがあります。様々な状態を想定してあらかじめ見積書に記載することはできないばかりか、様々な状態に細かく対応しよういう考えが最初からない業者もいます。そこは業者の良心にまかせるのか、施主様が勉強して具体的に業者にオーダーするしかないですが、できれば良心的な業者に施工してもらって、施主様に頼まれなくても、良心的に適切な判断のうえで作業してくれるのが一番であると思います。

外壁の仕上げに使う塗料はウレタン?シリコン?

外壁はシリコンでお願いします。きっとそう言って業書にお願いする方が多いでしょう。

業者も「はいもちろんです。うちはシリコンがメインです。」と答えるでしょうか。

では、「シリコンとウレタンの違いを教えてください。」と質問したら、業者はどのように答えるのか私も興味があります。おそらく「う~ん・・・。シリコンの方が少し高いけど長持ちするから。」と答えるかもしれません。「どれくらい長持ちしますか?」と、さらに質問したら「そうですね~ウレタンで7年くらいかな~。シリコンだと10年持ちますよ。」と。その業者さん、たくさんのケースを目で見て調べた結果で答えているのではないかもしれません。そういう私も、どんなに調べても、また、塗料の専門家に訊いてみても明確な回答を得られていません。それで終わってしまってはコンテンツを読んでくださっている方に申し訳ないので、私が調べて得た情報のうち、実際に工事で使用して実感していることについて説明します。

結論ではないですが、私の実感として例えば、「△○※シリコン樹脂塗料」や「ウレタン●※▼樹脂塗料」という商品名の塗料があったとしますと、商品名に付く「シリコン」とか「ウレタン」に固定観念的にとらわれず、あくまで商品名としてとらえてその商品の特性を覚えるようにしています。

そして、その記憶による経験値でそれぞれのケースに合った塗料をご提案しています。そうは言っても、私にしかわからない説明になってしまいますのでもう少しわかりやすく説明します。

塗料メーカーのエスケー化研に「クリーンマイルドウレタン」と「クリーンマイルドシリコン」という一般によく使われる塗料があります。この2種類の塗料を使って施工して、3年以上経過したそれぞれの外壁を見比べると、わずかに「シリコン」のほうが汚れが少なく綺麗が持続されています。

ウレタンよりはシリコンの方が汚れが付着しづらいということだと思います。

あと、耐久性についてですが、シリコンだからウレタンより長持ちするというのは、私はあまり実感がありません。例えば、某メーカーの水性シリコン樹脂より、別のメーカーの弱溶剤ウレタン樹脂の方がツヤが持続しますし、劣化の進行が遅いような気がします。

下地の外壁が通常より劣化している場合、水性シリコンではなく、弱溶剤ウレタンをお薦めしたり、金属系のサイディングには塗膜が固い弱溶剤のシリコンではなく、塗膜に弾力のある弱溶剤ウレタンをお薦めすることがあります。

見積書に「シリコン」と記載されているから安心だと思い込まないでください。シリコンといっても油性もあれば水性もありますし、ニ液形や一液形といった違いがありますので、業者がその塗料を選択推奨している理由を説明してもらうことも大切ではないかなと思います。

見積書に記載された塗料の選択理由を訊いたとき「ウチはどこのお宅にもこの塗料をお薦めしていますよ。」などと、塗料の選択をあれこれ考えるのを面倒くさがる業者には注意が必要です。

フッ素について

現在建築塗装に使用されている塗料の中で、市販されている塗料として最高級塗料がフッ素塗料です。フッ素塗料の優れている点は、非粘着性(汚れづらい)・耐薬品性(酸性雨に強い)・低摩耗性(屋根の雪が落ちやすい)・耐候性(紫外線に侵されにくい)などです。

しかし、まだまだ家庭用として普及していくには価格やさらなる性能の向上の点で発展途上ではないかと思います。実は当店、このフッ素塗料を使用した施工例はまだ2軒です。

ですので、ここにフッ素のことについて多くの体験的なお話をすることは残念ながらできません。

なぜ、まだ2軒しか実績がないのか。大きくは二つの理由にあります。

一つは価格が高くて見積りを依頼されてもシリコンやウレタンとの価格差が大きく、採用されなかったのです。おおよそですが、弱溶剤シリコン塗装の1.5倍の価格になります。

二つ目は私自身が体験的な長所をお話しすることができず、施主様の決断を後押しできなかったことでしょうか。

フッ素塗料の耐久年数はメーカーのカタログに15年から20年と記載されています。私の意見ですが、住宅のメンテナンスを15年以上なにもしないより、ある程度のランクの塗料を使用して10年に一度、点検を兼ねてメンテナンスを行うほうが建物のためにはいいのではないかという持論もありました。その持論は今でも持ち続けています。ですが、フッ素塗料にはとても興味がありますので、機会があれば体験を増やして皆さまにお話できたらいいなと思っています。

さて、そのたった1軒の施工実績のお宅ですが、非常に食いつきのいい塗料だなというのが作業中の実感でした。下塗り塗料に対する密着がいいということです。耐用年数が一般の上級塗料より長いというのはこういう点からもわかるなと思いました。

開発当初のフッ素塗料は紫外線に強いとはうらはらに、劣化が始まると加速度的に進行し、価格の割には長持ちしなかったと先輩たちは言っています。しかし、日本ペイントが従来のフッ素塗料を進化させた画期的なフッ素塗料を開発しました。従来からあるフッ素塗料は3F型といって、塩素原子が含まれており、この塩素原子が劣化を早める要因になっていたようです。その塩素原子を取り除くことに成功したのが日本ペイントの「ファイン4Fセラミック」という4F型のフッ素塗料です。

残念ながら当店ではまだ施工実績がありません。是非、使用してみたい塗料です。

多機能性クリヤー塗料について

外壁塗装をご検討されている方の中に、現在の外壁模様をそのまま残しながら、低下した防水性能を蘇らせたいとお考えの方もいらっしゃると思います。

サイディングボードの多彩な色使いや風合いは大昔の物とは比べ物になりません。タイル調、自然模様、塗り壁調などその意匠性には脱帽です。そのような外壁も経年による劣化は避けられませんので、劣化をカバーするために塗装が必要になる時がやってきます。

意匠性の高い外壁は塗装することによってその多彩な色使いや風合いが失われてしまいます。

塗装方法に2色塗装という方法があります。

左の画像はレンガ調サイディングを2色塗装で施工した時のものです。外壁の色使いが目地(凹部)と模様面(凸部)の2色だけでデザインされている外壁を塗りました。

このような風合いであれば刷毛とローラーで塗装することは可能です。

しかし、もっと色使いの多い複雑な風合いの外壁の場合は刷毛とローラーによる塗装では復元できません。そこで塗料メーカー各社が技術を競い合って開発しているのが多機能性クリヤー塗料です。ほとんどの塗料メーカーで多機能性クリヤー塗料は開発されていますが、長所・短所がありますので、外壁の素材や状態に合わせてどのメーカーの製品を使うのか塗装業者からアドバイスを受けてください。

クリヤー塗装は建築後5年以内におこなうのが理想とされています。なぜなら、外壁があまりに傷んでからの施工になると、その傷みをカバーできないからです。クリヤー塗装は無色透明なので、外壁の傷みがそのまま透けて見えることになります。そうは言っても実際にご相談をいただくお客様のほとんどは10年程度を経過し、それなりの傷みが発生してからです。

ですので、クリヤー塗装をおこなう前に、下地調整で損傷部をタッチアップ的に補修します。

外壁が欠けている場所はパテなどの補修材を使って形状を復元し、周囲の色にあわせた色の復元もおこないます。

私は職業柄どうしても目についてしまうのですが、外壁の傷みを復元しないままクリヤー塗装している住宅を見つけることがあります。

クリヤー塗装を採用する場合は損傷部の復元についても業者に確認してください。

クリヤー塗装をすると、外壁面のツヤが出ます。

ギラギラとしたツヤ感が好みではない方は左の画像のような3分ツヤで仕上げてもらうといいと思います。

屋根の塗料について

屋根の塗装にはできるだけ塗膜の硬い材料が良いと思います。

塗膜の硬さでは、ウレタンよりシリコン、シリコンよりフッ素です。

そして一液よりニ液。

一液とニ液、どういう違いがあるのか説明します。

一液塗料とは、塗料を原液のまま使用できるものです。原液で塗ることができるといっても実際には、一液水性塗料であれば水で希釈します。一液溶剤塗料はシンナーで希釈します。

一方、ニ液塗料とは、主剤と専用硬化剤を混合して使用します。

二液塗料は一液塗料より硬い塗膜を形成します。

屋根素材は北海道の場合、トタン(金属)が主流なので、塗料は溶剤系を使用しますが、本州の屋根に多い瓦屋根やコロニアル(スレート屋根)の塗り替えには水性塗料を使用することがあります。

屋根の塗装にはできるだけ塗膜の硬い材料が良いという理由は、硬い塗膜ほど耐摩耗性に優れ、雪の滑りが良いからです。雪を滑り落とさない無落雪屋根であっても、雪の積載ストレスから屋根を保護する観点から硬い塗膜の材料が理想と言えます。

北海道の住宅の屋根塗装には特性や価格面から二液形弱溶剤シリコン塗料がお薦めです。

外壁も屋根も、仕上げの塗料に何を選択するかも大切ですが、下地調整や下塗りも大切な工程です。特に屋根はしっかりケレン(硬いクロスで屋根を砥ぐ作業)をおこなうことと、錆び止めなどの下塗りをしっかりしてもらってください。ケレンも下塗りもしないでいきなり屋根の上塗り塗料を塗ってしまう業者が多いのには驚いています。

ご相談・見積りは無料です。